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COMPANY
会社ものがたり
STORY
株式会社 琉球ガラス 煌工房 代表
琉球ガラス作家
池宮城 善郎(いけみやぎ よしろう)
1994年 沖展賞受賞
2000年 沖展賞2回目受賞
2003年 沖縄工業連合会より優秀技能者受賞
2004年 沖展審査員
2009年 沖縄県指定伝統工芸士認定
2011年 琉球ガラス煌工房を設立
2011年 沖縄タイムス芸術選賞奨励賞受賞
2014年 厚生労働省「現代の名工(卓越した技能者)」受賞

琉球ガラスへの道

私が琉球ガラスを知るきっかけは、大学時代のアルバイトでした。
当初はガラスや工房に興味があったわけではなく、学費稼ぎで工房に入りました。
最初の1年目は材料選びなどの下働き、2年目からガラスの巻き取りの作業をやらせてもらいました。
職人の世界なので、見よう見まねで技術を習得していき、そのうちだんだんと琉球ガラスの魅力、色鮮やかな色彩に「無限の可能性」を感じ、この道に進む決意を大学卒業とともに本格的に固めました。
「10年で一人前」と言われるこの世界で、30代の前半に大きな転機を迎えました。
琉球ガラスに「華やかな作品」を追求する思いから、がむしゃらに学び、失敗を繰り返しながらも当時誰も手掛けていなかった「ラスター彩」や「象嵌(ぞうがん)」「段彫り」といった新たな技法を開発したのもこの頃になります。
何度も何度も失敗を繰り返して、3年弱でようやく満足のいく仕上がりとなりました。

また、40代に入って、念願であった10kgを超える「大物」の制作にも挑戦しました。
5㎏を越えると大物と呼ばれますが、私が挑んだのは10㎏を越える作品で、このサイズは前代未聞でした。
ガラスは熱を加えるとまるで生き物のように形が自在に変わるため、5名のサポート役が付き全員が息を合わせて作業します。
2時間半に及ぶ炎との格闘を繰り広げ、数々の代表作を生み出してきました。

独立と次世代育成への情熱

「琉球ガラス煌工房(きらめきこうぼう)」を立ち上げたのは2011年のことです。
大手工房で制作に専念できる立場からの独立を決意したのは、琉球ガラスの次世代育成に「定年退職を待ってからでは遅すぎる」という強い使命感からでした。
工房ではガラスの基礎や特性はもちろん、個性を尊重した技術向上を促し、琉球ガラスの未来を担う人材を育成しています。
「煌工房」の名の由来は、「火」と「皇」が合わさった「煌」という文字に、ガラスの煌びやかなイメージと「火を扱う仕事の中で頂点を目指す」という私の思いが込められています。

 

また、工房での育成の他に、若い作家への助言や、琉球ガラス協力会の設立・運営を通じて、業界全体の発展につながる活動にも努めています。
2004年からは沖縄最大の公募展「沖展」の審査員も務めながら、応募作品の質の向上を肌で感じています。

 

かつて廃材ガラスを加工したシンプルな民芸品から、芸術性の高い工芸品へと進化を続けている琉球ガラスですが、ベネチアングラスと比べればまだまだと感じます。後進の育成に努めながら、我々自身も切磋琢磨して、琉球ガラスのレベルアップを果たしていきたいと願っています。

天職を極め、琉球ガラスの未来を創造する

2014年には「現代の名工」として、琉球ガラス界で4人目の栄誉に輝きました。
長年の夢が叶った喜びもさることながら、現役の職人が少ない現状に、琉球ガラスの未来を背負う重い責任を感じています。
私にとって琉球ガラスはまさに「天職」。
人生において与えられた唯一のテーマとして、この先20年はガラス制作に情熱を注ぎ続ける覚悟です。ものづくりには終わりがなく、一つの目標を達成しても、その先には常に新たな高みがあると信じ、探求を続けていきます。

 

また、工房の近隣に大規模な第二工房を建設する計画も進行中です。そこでは、これまでにない大作や新技法にも挑戦し、作品の完成度を高めていくとともに後進育成にも力を入れていきたいです。

 

琉球ガラス職人を目指す方へのメッセージ

担い手不足が深刻な業界ですので、若者に限らず、多くの人々がこの業界に足を踏み入れ、技術を継承してもらうことで、琉球ガラスの歴史を絶やさずにいてほしいと考えています。
現在、工房内には7名の弟子がいます。
その中には自身の息子も含まれており、一緒に仕事ができる事に頼もしさを感じています。
これから1人でも多くの琉球ガラス職人がこの工房で育ち、琉球ガラスの未来を支えてもらえればと願います。